令和2年度 色彩・意匠学部会 春季セミナー 公開講演会を開催しました。 |
2020年度の色彩・意匠学部会春季セミナー「皇室と東京」は,新型コロナ感染症拡大防止のため,初のオンライン形式での開催となった. 今回は,「令和の御代」になり一年以上が経ち,現在も皇室そして東京に注目が集まっていることから,皇室ゆかりの建造物と生活様式,さらに建物と人間が織りなす社会と文化にスポットをあて,調査・研究,文献に基づく,建物と人間を多角的に捉えた講演を専門の講師の方に伺った.
まず講演1では,「わが国の住宅の近代化にみる皇室の邸宅」と題し,東京家政学院大学現代生活学部教授の大橋竜太氏により,建築史研究と近代住宅,歴史的建造物の謂査・研究,皇室の邸宅から明らかになることの観点からお話しを伺った.皇室の邸宅研究にはどのように日本人の生活が洋風化してきたのかを探る糸口があり,現在のわれわれの生活にも繋がるという調査・研究に基づく内容にはとても説得力があり,皇室という存在を身近に感じた講演であった.また,現存する皇室(旧宮家)の邸宅や歴史的建造物には,私たちが訪れることの出来る施設もあり,今回の講演内容を胸に訪問,再訪を考えた参加者も多いのではないだろうか.
講演2は,「鹿嗚館の美慈識 描かれた鹿鳴館」と題し,東京家政学院大学現代生活学部教授の山村明子氏から,鹿嗚館での舞踏会を伝えているとされる錦絵『貴顕舞踏の略図』(楊洲周延
作)と当時の新聞記事,外国人による風刺画,諸文献を用いて「描かれた服飾」の疑問点を紐解いていく,解説がなされた.西洋化,洋装化という大きな動きの中で,当時皇族方をはじめ日本人がどのような意識を持って取り組んできたのか,それが現在のわれわれの衣生活に繋がっていることを考えさせられる講演であった.
今回のセミナーはオンラインの利点を活かし,各地から62名の方にご参加いただいた.家政学の分野を問わず,非会貝のみなさんも含め,大変興味深かったという感想も寄せられ,有意義な講演会となった.
令和元年度 色彩・意匠学部会 夏季セミナー 公開講演会を開催しました。 |
色彩・意匠学部会では,「東海地域の伝統文化の色彩と意匠」をテーマとして,2019年度第41回夏季セミナーの公開講演会を開催した.
まず,講演1「日本の伝統芸能と色彩」では,伝承文化研究センター所長/元名古屋女子大学教授林和利氏より,能・狂言で用いられる色彩について,歌舞伎やその他のジャンルの伝統芸能と比べ,総論として能・狂言において神聖視されている「白」と祝言性を象徴する「緑」の重要性について解説された.
次に,講演2「美濃和紙の歴史,技術と展開」では,岐阜県産業技術総合センター繊維・紙業部主任専門研究員佐藤幸泰氏より,2014年世界無形文化遺産に登録された美濃和紙1300年の歴史・技術から現代における和紙繊維製品の技術までご講演いただいた.
最後に,講演3「長良川鵜飼の鵜匠装束」では,岐阜大学教育学部教授夫馬佳代子氏より,長良川鵜飼(皇室御用鵜飼)において鵜匠のみが着用できる装束の製作技術を一つの文化の伝承として捉え,作り手である鵜匠と独自の衣服形態や材料へのこだわりについてご講演いただいた.
会員に加え,学生の参加もあり97名の参加者を得て、盛況であった.東海地域の伝統文化についての知見を深め,今後のアパレル教育と文化の継承に役立つと考えられる.
平成30年度 色彩・意匠学部会 春季公開セミナーを開催しました。 |
今回の春季公開セミナーは、くらしに息づく京都のものづくりにフォーカスし、京都独特のものづくりとそれらに関わる色の楽しみ方について3名の京都の著名な講師の方々からご講演いただいた。
まず、講演1として「伝統素材「漆」を現代に活かす−MR漆を使った新規利用分野の開拓−」と題し 株式会社佐藤喜代松商店代表取締役の佐藤貴彦氏により、伝統工芸として使用される漆の歴史を含め、新しい精製法として、かぶれにくく、耐久性に優れた特徴をもつMR漆の精製について説明いただいた。
講演2では「菓子における色彩とにおひ」と題して、公益財団法人有斐斎弘道館代表理事 太田 達氏が菓子の概念、日本文化や信仰、コミュニティツールとしての重要性について解説された。また、文化継承・保存のため、伝統的な京菓子づくりや、茶会や展覧会なども開催し、付加価値をつけて伝統を繋いでいく、新しい茶の湯の有り方も紹介された。
さらに、講演3では「復活した希少染色技法「マドレー染」の活用−ビジネス展開に向けて−」と題して、京都女子大学家政学部准教授の青木美保子氏が希少染色技法であるマドレー染めの復興について解説され、実際に制作された作品を間近で見ることができた。
今回の企画は、地域文化の継承の中で色がどのような役割を持つかなど考えさせられる内容であり、当部会員だけでなく一般参加者にとってもまたとない有意義な機会であった。
平成30年度 色彩・意匠学部会 夏季公開セミナーを開催しました。 |
公開講演会「デザインにみる地域性ーファッション都市神戸ー」および見学会
8月21日
◆企画講演会
講演1「神戸ファッションにおける おしゃれのイメージ」
神戸松蔭女子学院大学教授 徳山孝子氏
神戸港150年の歴史と洋服文化との関わりについて解説された.昭和初期の雑誌「ファッション」では,阪神間のセレプがモデルとなり外国のファッション情報がいち早く紹介されていたなど.神戸ファッションの歴史を知ることができた.また.ファッション雑誌の古書が紹介され,参加者が手に取って見ることができた.
講演2「神戸タータンの誕生と今後の展望」
神戸タータン協議会会長 石田原弘氏
神戸の自然と街の風屎からイメージする色で構成された“神戸タータンWは,神戸を象徴するイメージデザインとして,織物やグラフィックデザインのかたちで様々なアイテムに展開され,地域活性化のために使用されている.本講 義ではカラーデザインの過程なども詳しく解説され,一般参加者から多くの質問が寄せられた.
◆アトリエ見学会:神戸元町にある帽子専門店マキシンの房を訪問し,万陣で使用されたものなど歴史に残る作品と,職人による手作業を解説つきで見学した.
8月22日
◆美術館見学会:神戸三ノ宮からパスで移動し,大塚国際美術館において,陶板で表現された世界の名画を解説つきで見学した.
参加者:家政学会貝17名.非学会員19名.総計36名
平成29年度 色彩・意匠学部会 春季公開セミナーを開催しました。 |
(一社)日本家政学会色彩・意匠学部会では、「今に生きる江戸東京の技・色・デザイン」をテーマとして、平成29年度春季公開セミナーを開催した。会場は、東京家政学院大学であり、講演1 「浮世絵にみる幕末から明治初期の色彩とデザイン」では、共立女子大学名誉教授 伊藤紀之氏より、多数の浮世絵資料を呈示しながら幕末から明治初期の色彩とデザインについて説明頂いた。また、研究テーマの発見方法についてもご教示いただき、知識を深めるだけでなく、研究者としての心構えも学ぶことができた。講演2「西欧の近代デザインとジャポニスム」では、愛国学園短期大学講師 畑久美子氏より、西欧の近代デザインとジャポニスムのかかわりについて、歴史的な流れとジャポニスムとかかわりの深い事象を取り上げながら説明頂いた。学生や初学者でもわかりやすい説明と多数の写真資料を呈示しながら西欧の近代デザインと日本のかかわりについて理解を深めることができた。「江戸銀細工の解説および体験」では、(有)日伸貴金属の銀師(しろがねし)
上川宗照氏・宗伯氏(伝統工芸士)より、伝統工芸品東京銀器の歴史について解説頂いた。伝統工芸品は伝産法により指定されており、“実用品で美術要素がある日本独自の工芸品”いわゆる〈用の美〉が重要とのお話しが心に残った。解説後、参加者各自が栞・指輪・ペンダントの銀細工実習を体験した。デザイン性豊かな独自の作品が完成し、江戸の技を体験することができ、充実した
セミナーとなった。
平成29年度 「一般社団法人日本家政学会第2回家政学夏季セミナー」合同開催しました。
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